掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症は手掌(てのひら)や足蹠(足の裏)に1~5mmまでの膿疱が多発し、良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら慢性に経過する皮膚病です。小さな水ぶくれで始まり、しばらくすると膿がたまり、カサブタや薄皮が剥がれ落ち、赤みをもった発疹となります。また爪の変形がみられることもあります。
掌蹠膿疱症の原因として病巣感染、喫煙、自己免疫性甲状腺炎、金属アレルギーなどが考えられていますが、単一な病因では説明がつかず、患者さんにより異なります。そのため、治療が長引くときは皮膚科だけでなく歯科・耳鼻咽喉科等の受診が必要となります。
掌蹠膿疱症の原因となる病巣感染として慢性扁桃腺、歯周炎、歯牙根尖病巣、副鼻腔炎など頭頚部の病巣が全体の80~90%をしめますので、歯科や耳鼻科で適切な検査と治療が必要です。また、金属アレルギーの関与は5%程度と考えられていますが、病巣感染の検索と治療で軽快しない場合は金属パッチテストを行ない、疑わしい場合は歯科金属の除去あるいは低金属食を検討します。
治療に難渋する場合は。完治にむけて歯科・口腔外科・耳鼻咽喉科受診をしていただきます。なお掌蹠膿疱症の患者さんの80%が喫煙者であることが知られており、禁煙とうがいの励行で咽頭炎を予防することが必要です。
また掌蹠膿疱症の患者さんの約10%が骨や関節の症状を訴えます。前胸部の痛みを訴えることが多く、心臓の病気と間違えることがあります。また腰部、背骨、指の関節にもみられ、症状がひどい場合は整形外科を受診していただきます。
治療
塗り薬治療
症状の軽い場合は塗り薬で治療を進めてゆきます。塗り薬の種類としてはステロイド軟膏とビタミンD3軟膏を中心に使用します。
飲み薬治療
飲み薬で掌蹠膿疱症の特効薬はありませんが、症状が強い時にステロイドホルモン剤を短期間内服することがあります。当院では発疹の状態によって様々な種類の漢方薬をお飲みいただくことも多いです。
光線治療
当院では掌蹠膿疱症に対して光線治療を積極的に取り入れています。塗り薬治療で効果が不十分な場合にエキシマライトという光線装置を用いて行います。治療時間は数分ですが、予約制となっていますので、ご希望の方は受診時にご相談下さい。光線治療は1~2週間に1回通院していただき、状態により長期にわたって治療を継続される患者さんも多くいらっしゃいます。