あの日のワンショット「(17)ネパール カトマンズ」
前回、書き綴ったように、インドでは街を出歩くたびに何人ものインド人から「どこへ行く?」「金をくれ」「これを買え」「リキシャに乗らんか!」などなど、ゆく先々で声をかけられ、慣れるまでとても疲れる毎日を過ごした。
当初、インドだけを巡る予定だったが、あまりにインドで疲れてしまったので、途中で旅程を変更しネパールへ逃げ込むことにした。カトマンズの飛行場で入国時にビザをとって無事ネパール入りとなった。
ネパールではストーンロッジハウスという日本人の貧乏旅行者が集まってくる宿があり、私もそこを拠点とした。一泊数百円で泊まることができ、多くの日本人が宿泊しているので、様々な情報を得ることができるし、一人旅の旅人が多いので一緒に食事をしたり、時に行動をともに取ったりして仲間を作ることができた。私の隣の部屋には1ヶ月もここに滞在している日本人がいて、夜になるとお隣からお呼びがかかって何人もの日本人が集って語らっていた。
カトマンズ市内は徒歩で、郊外はレンタサイクルで回ったが、街並みはインドと異なり猥雑さがなく静かな感じで、人々も穏やかで、食事もネパール料理はおいしいものが多かった。首都のカトマンズと山岳トレッキングのベースになっているポカラという静かな街に滞在したが、心休まる穏やかな日々を過ごすことができた。
だが、谷に転落したバスに日本人も含まれていたとか、トレッキングしていた旅行者が山賊に襲われて身包み剥がされたとか、湖に日本人の死体が浮いていたとか、ちょっと怖い話もしばしば聞くネパールでもあった。その後、政情不安も伝え聞くが、私にとってネパールはお気に入りの国の一つである。