あの日のワンショット「(14)ハンガリー ブダペスト」
シベリア鉄道で大陸を横断し、モスクワ、プラハをまわり、ハンガリーのブダペストにたどり着いた。チェコのプラハで仲良くなった愛媛大学の医学部生とお茶の水女子大生の二人が私より数日早くブダペストに着き、私をブダペスト駅まで出迎えに来てくれた。異国で一人旅の私を駅まで出迎えに来てくれた事に感激したのを今でもしっかりと覚えている。
ハンガリーの首都ブダペストは「ドナウ川のさざなみ」「美しき青きドナウ」で知られるドナウ川が街中を流れ、その街の美しさから「ドナウの真珠」といわれる都市である。そのドナウ川には「鎖橋(くさりばし)」という有名な橋が架かっている。ブダペスト滞在中に何度もこの橋を渡ったものだ。
ブダペストはドナウ川をはさんで、ブダ地区とペスト地区に分かれている。ペスト地区が平坦な市街地であるのに対して、ブダ地区はいくつかの丘からなっており、ブダの王宮がある丘に「漁夫の砦」がある。この名称はドナウ川の漁師がこのあたりを守っていたこと、このあたりに魚市場があったことから名づけられたという。漁夫の砦からはドナウ川や対岸のペスト地区のすばらしい景観が眺められる。
ブダペストに4,5日滞在したと思うが、今思い出せるのは、漁夫の砦からの眺めと出迎えにきてくれた友人とドナウ川のほとりでしばし語らったことくらいで、もっと見ておくべき名所が沢山あったはずなのに、思えばなんともったいないことをしてしまったのかと悔いが残る。