あの日のワンショット「(10)フィリピン マニラ、セブ島」
大学2年生を終えた春、友人と二人で知人を訪ねてフィリピンへ2週間ほど旅にでた。
マルコス大統領、そしてイメルダ夫人を覚えていらっしゃるだろうか。マルコス大統領がフィリピンからアメリカへ亡命し、コラソン・アキノ大統領に政権交代した直後の激動のフィリピンに向かった。政情不安で、観光旅行は自粛するようにと言われていたが、その知人は裕福な華僑で安全な地区にお住まいだったので、なんとかなるさと好奇心旺盛な私達は混沌としたマニラに足を踏み入れた。
予想どおり政権交代後の喧騒の中での旅となった。街にはアキノ大統領のイメージカラーである黄色のアキノグッズで溢れていた。贅を尽くしたマラカニアン宮殿は一般人に公開されており、私達も宮殿内に入って見学したが、あまりの人の多さに、人を観て帰ってきたようだった。宮殿内に入った日本人はそれほどはいないと思うので、貴重な経験になった。あれから25年近くが過ぎ去り、コラソン・アキノ元大統領の息子、ベニグノ・アキノIII世が今まさに新大統領になると聞いて、時の流れを感じている。
マニラでは知人の豪邸でお世話になり、激動のフィリピンを垣間見つつも華僑ファミリーの団結力などにも触れ、思い出深き日々となった。
その後、マニラからセブ島へ向かった。飛行機でゆけばアッと言う間に着くのだが、時間はあっても金はない学生の私達は、乗客のほとんどがフィリピン人というローカルな船で1日かけてセブ島へ。セブ島では海外青年協力隊員の送別会に飛び入りで参加して豚の丸焼きをいただいたこと、マゼランのお墓に寄ったこと、フィリピンで有名なバロッ(?)という鶏の有精卵で半分くらいヒヨコの形ができているゆで卵を食べたこと、ウベという芋のアイスクリームに初めて出会ったこと、本場のマンゴージュースに感動したこと、フィリピンのデザート“ハロハロ”に・・・あれっ! 食べ物の思い出ばかりだ!!!