院長の部屋
COLUMN

院長の部屋 96号 自然欠乏症候群

寒い日が続きますが、木々や草花に目をやると着々と春の準備が始まっているようです。そして一大国民病、スギ花粉症の季節到来です。今年の愛知県はスギ花粉量が昨年より多くなると予想されており、花粉症患者さんの方々にはちょっと辛い時期となりました。当院におきましても、花粉症について、内服治療をはじめとして一般的な治療を行っていますので、どうぞお気軽にご相談下さい。

さて、スギ花粉に悩まされる我々ですが、現代人の原因不明の体調不良の中には、「自然不足」が原因のことがあるという「自然欠乏症候群」についての話題について、山本竜隆著「自然欠乏症候群」(ワニブックス)を参考に紹介したいと思います。

「自然欠乏症候群」とはリチャード・ループという著述家が2005年に出版した「あなたの子どもには自然が足りない」という本の中で提唱した「自然欠乏障害」いう言葉から派生し、日本でも知られるようになりました。「自然から遠ざかった」現代の子どもたちに様々な精神不安定やそれに伴う症状がもたらされることを指摘し、一気に「自然欠乏症候群」が知られるようになってきました。泥んこになって遊ぶ子供たちの姿はなくなり、家の中に閉じこもって、スナック菓子を食べながらスマートフォンやタブレットなどで遊ぶことになってしまった現代の子どもは、自然から遠ざかった結果、次のような症状が表れました。1集中力がない、ひとつのことに集中できない。2落ち着きがなく、じっとしていられない。3忍耐力がなく、かんしゃくをおこす。4他人に対する気遣いができず、友達とうまく遊べない。そして「自然欠乏症候群」には「平衡感覚が乏しく、よく転ぶ」「視野が狭く、すぐ横で起きていることや、横から迫ってくるものに気づかない」などの運動能力も劣ってきます。自然欠乏症候群になった子どもたちは、さまざまな健康診断をしても、数値的な異常は見つからないことが多く、医学的には「健康」と判断されてしまいますが、明らかに精神状態や行動に問題を抱えてしまいます。ありとあらゆることがスイッチ一つで叶い、食事も作るものから買うものとなり、お茶すらも急須やヤカンで作ることからペットボトルを買ってくるものとなってしてまった現代生活は、確かに便利で快適で清潔かもしれません。しかし、その引き換えに失っているものがあまりに大きなものであることに我々はそろそろ気づかなければならないと思います。

このことは自然に触れることの少ない都市部の大人にそのまま当てはまります。コンクリートとアスファルトに囲まれた環境の中、乗車率120%の満員電車に押し込まれながらもスマートフォンで情報収集し、仕事場につくやパソコンのスイッチを入れて、お昼になると外食やコンビニ弁当であわただしく昼食をすませ、夜になっても強烈な光に囲まれ、騒がしい音の中で煙草の煙を吸い込み・・・・。このような生活の中では目や耳に入り、あるいは触れることのできる自然は極めて少なくなっています。自然に触れる機会が少ない日々の積み重ねが、原因不明の体調不調の原因、現代人の自然治癒力低下の原因、体と心のその「つらさ」の原因となっていることがあるのです。私たちの住む東三河地方は海、山、川、畑などが身近にあるので、都会の方々に比べたらまだまだ自然に触れる機会が多いと思います。けれど、日々の生活の中で積極的に自然に触れることを意識しないと、常に「自然欠乏症候群」になってしまう危険性を持っているのだと自覚して生活してゆきたいと思います。

「人間は、自然から遠ざかるほど、病気に近づく」と言うヒポクラテスの言葉を、いつも心に留めておきたいと思います。

平成27年2月25日

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