院長の部屋 71号 五感ノ癒シ
9月も半ばを過ぎ暦の上では秋ですが、まだまだ暑い日が続いています。夏休みも明けて子供達もいつもの学校生活が再開し、再びぺースが戻ってきた頃でしょうか。皆さん、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて、9月初旬に京都で日本アロマセラピー学会が開催されました。そして今回の学会の特別プログラムとして「五感ノ癒シ」という本邦初の企画が開催されました。好奇心MAXの私はまたとないこの企画にもちろん参加してまいりました。土曜日の夜、18時半から企画スタート。参加者は24名、その内、男性は2名であとはすべて女性。まずはこのプログラムの趣旨をパンフレットから。
仏教伝来とともに日本に香木が伝わり、香りは時の流れとともに優雅な発展を遂げてきました。無明の病を治す法薬を与える薬師如来像が祀られる泉涌寺別格本山雲龍寺。芳香療法を補完代替医療として取り組むオリエンタル・アロマセラピィ・カレッジの共催により、新たな芳香療法と日本独自の伝統文化が織りなす五感の癒しを提案します。医薬の仏のもとで、「視」「嗅」「聴」「味」「触」を研ぎ澄ます究極の癒しを体験してみませんか。
このうたい文句に誘われて、五感の癒しにさあ出発。
「嗅覚」:オリエンタル・アロマセラピィ・カレッジが今回開発したアロマシートという特殊なパックに詰められた「瑠璃紫」と言うブレンドアロマオイルをお守りに似た外袋にいれ首に掛けて企画スタートです。参加者全員の胸元から「瑠璃紫」の心地よい香りが漂い、それだけも癒されます。
ちなみに瑠璃紫について:「五感ノ癒シ」企画のために天然精油のみを絶妙なバランスで組み合わせたアロマブレンド。雲龍院の深い歴史と教えの中で本能を刺激する深い香りを中心に、気持ちを循環させ、調整し、優しさと幸福感をもたらす、その時々に感じた香りの一期一会をお楽しみ下さい、との説明がありました。
「味覚」:まずは腹ごしらえ。市橋住職の説法をお聴きしながら京都の料亭から取り寄せた精進料理をいただきました。味覚だけでなく、料理の美しさに視覚までもが癒されます。そして蓮華之間に移動して織部流による「武家点前」という独特のお点前でお菓子とお抹茶をいただきました。これは武士が出陣する直前に大名が兵士のために行った作法で、武士に見立てた男性が立ったままお手前をするという、とても貴重な経験をしました。
「触覚」:一文字写経をしました。雲龍院は日本最古の写経道場とのこと。写経の前にお清めとして身口意の三業を清めます。丁字(ちょうじ)を口に含んで、塗香(ずこう)を手に塗り、洒水(しゃすい)を頭にそそぎ、香象(こうぞう)を体に薫してお清め終了。そしてその後、龍華殿で江戸時代から使われている一人用の写経机で般若心経の中からの一文字「眼」という文字を各人が写経し奉納しました。久しぶりに筆を握り、癒しというより緊張しました。
「視覚」:悟り之間にて「悟りの窓」と「迷いの窓」から見える景色を鑑賞しながら華師清水南文先生から「花の心と華師のこころ」の講話をお聴きしました。悟りにはほど遠い私。
「聴覚」:大輪之間にて煩洗石を足に触れて石庭を鑑賞しつつ、住職の読経と伝心をしました。夜の静寂の中で響きわたる読経に心が洗われる思いでした。
以上が「五感ノ癒シ」の内容です。仏様とライトアップされた庭園を望みながらの雲龍院でのこの癒しのひとときは忘れ得ぬ思い出となり、また明日への活力を育んでくれました。