院長の部屋
COLUMN

院長の部屋 65号 養生訓から

寒い冬もようやく終わりを告げ、春の息吹を感じ始める季節になりました。とは言っても三寒四温、急に寒くなる日があったりして体調を壊しやすい季節です。また、スギ花粉症の季節でもあり、ちょっと辛い季節でもあります。どうか、日々の体調管理をしっかりとして季節の変わり目を乗り切りましょう。

さて、今回は江戸時代に儒教と中国医学を修めた貝原益軒(1630~1714年)が庶民のために書き下した生活習慣病と老化予防の名著「養生訓」から、皆さんにほんの少しマイセレクト集をご紹介します。江戸時代に書かれたものですが、現代予防医学の先端と合致した多くの知恵が書き記されていることに本当に驚きます。

 

一訓自分の体は自分だけのものだと思い、勝手気ままに地堕落な生活をしてはいけない。自分の体は父と母がこの世に残してくれたものであり、また子へと残すものである。であるから勝手気ままに地堕落な生活をして、自分の体を損なったり、若死にさせてはいけない。

五訓長生きして人生を楽しむことを心掛けるようにする。あたりまえのことだが、それを行うのが養生の道だ。悪事を働かず、善行を楽しみ、人としての正しい道を歩むこと。病を避け、健康でこころよいことを楽しみ、長生きして、人生そのものを楽しむようにすることだ。

四十訓静かに家の中で過ごし、本を読み、山水を眺め、四季の変化を楽しみ、酒を少量たしなみ、心を楽しませ、気を補う。このような楽しみは誰にでもいつでもできるものだ。貧乏であってもできる。財を成す人でも、このような楽しみを知らぬ人は不幸である。

六十四訓心配事を少なくし、欲を抑え、飲食を控えて胃を守り、言葉少なくすることが養生の道である。

百二十三訓夕食は朝食より少ないのがよい。副食も同様に少ないのがよい。

百三十四訓古代、中国に食医ということが言われていた。食事によってすべての病を治すという。食事とは、養生の基本である。薬はやむをえないときだけ使うものである。医食同源である。

百四十訓酒は百薬の長である。それはほどよく呑んだときのことである。度をすぎれば酒は百毒の長と知るべし。

百四十四訓煙草は毒である。煙を吸い込むと目が回り倒れることもある。習慣になれば害も少なくなり、益もあるといわれるが、害のほうが多い。病気になったり、火事になったりと心配事が増え、習慣になると煙草をやめられなくなり、家計にも負担をかける。

 

私の尊敬する漢方医が診療の際に患者さんに口をすっぱくして指導されていることが、食事の重要性です。食事の内容と食べる量、朝食を多くとって夕食は少なめにとか、お酒のことも含めて食をおろそかにして薬に頼っているだけでは慢性病は治らないのです。また胃が悪いと皮膚病はよくならないですし、漢方医学では「皮膚の親は肺」と言われ、タバコを吸って肺が悪いと皮膚はよくなりません。我欲やストレスのない穏やかな規則正しい生活の重要性など江戸時代も現代も時代は変わっても正しいことは正しいのです。皆さんも養生して長生きし、人生を楽しみたいと思いませんか?

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