院長の部屋 53号 名市大病院へ行ってきました
三寒四温、春の訪れを感じながらもまた寒い日がやってくる、そんな季節になってきました。暖かく風の強い日は多くのスギ花粉が飛び、花粉症の方々にはとてもつらい時期でもあります。また気温の変化に敏感肌が付いて行けず、この時期はアトピー性皮膚炎の患者さんにとっても皮膚炎の状態がとても不安定になる季節です。どうぞお早めのスキンケアと治療でこのつらい時期を乗り越えましょう。
さて先日、私の母校であり出身医局のある名古屋市立大学病院皮膚科へ外来見学に行ってきました。見学の主な目的は当院に導入予定のセラビーム(エキシマライト)という機器の実際の使い方や適応疾患に対する効果を教えていただいてくることでした。
名古屋市立大学は皮膚疾患の光線治療では伝統があり、私が医学生だった頃の水野信行教授は、PUVA療法という光線治療を世界に先駆けて発表しその治療を推し進められました。そして現教授の森田明理先生はドイツとアメリカでの留学経験で培った知識と経験から、エキシマフィルターを世界で初めて開発され、そのフィルターを用いて国産初のエキシマライト照射機器“セラビーム”の開発者となられました。
私は森田教授の1年後輩で、フレッシュマンとして大学病院で皮膚科医になった頃は、毎晩遅くまで森田先生から親身なる厳しい指導を受け、その指導が午前様になることはいつものことでした。あれから20年以上が過ぎ、あの頃の下積み時代が今はとても懐かしく思い出されますが、鬼軍曹と陰で言いながらも頼もしい兄貴分だった森田先生が開発した最新の機器となれば、弟分の私としてはなんとしても導入すべく、今回の経緯にいたりました。
名市大病院も医局のある研究棟も私がいた頃の建物はすべて建て替えられ、とても新しい快適な環境となりました。皮膚科外来は最新の光線機器やレーザー機器が所狭しと置かれて、外来患者数は名市大病院で科別でトップ、国内の大学病院皮膚科でも患者数、治療レベルともトップレベルになっているそうです。
様々な面からこんなに立派になった母校の外来見学はとても有意義なものでした。光線外来と脱毛症外来を見学させていただきましたが、セラビームを用いた治療には予約された多くの患者さんが次から次へと訪れていました。特に白斑や掌蹠膿疱症の患者さんには従来の光線治療よりも効果の見られる方が多いようで、これからますます期待ができそうな治療装置でした。当院でもこれから従来のナローバンドUVB照射治療とセラビームによるエキシマライト照射治療をうまく使い分けて、難治性の皮膚病患者さんに少しでもお役に立てるように使いこなしてゆきたいと思っています。
話変わって、先日、生ガキにあたってしまい嘔気と下痢に見舞われてしまいました。約1年前も生ガキにあたってしまい、同じこと繰り返すのも学習能力がないのですが、こればっかりは反省しきり。しかし自分の身に起きたせっかくの食中毒なので、何か生かさなきゃ損だと思い、漢方薬がどれくらい効くかあれこれ試してみました。下痢初期の腹痛には芍薬甘草湯、ノロウイルスには五苓散、水様性下痢には五苓散か人参湯ということで、この3種類を刻々と変化する状況を見ながら数時間おきに内服したら、なんと1日半でバッチリ回復。丸1日は脱水症状でヘトヘトになっていたものの、あっという間の回復にまたもや漢方薬の効果に感激したのでした。皆さんもどうぞ生ガキにはくれぐれもご用心を。
平成23年3月1日 院長 大竹直樹