院長の部屋 52号 伝わってるかな?
寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。新しい年を迎えたと思ってい ましたら、あっという間に2月になってしまいました。そしてスギ花粉症の方にはつ らい季節になりました。当院でもアレルギー性鼻炎の治療をおこなっていますので、 どうぞご相談下さい。
さて、99歳の詩人 柴田トヨさんをご存じでしょうか。テレビや新聞でも時々、 柴田トヨさんについて報道されることがありますし、詩集「くじけないで」が出版さ れベストセラーになっているのでご存知の方も多いことと思います。人生を重ねられ た分、その一言一言に込められた熟成された言葉の重みを感じます。詩集「くじけな いで」から2編ご紹介させていただきます。
思 い 出 I
子どもが 授かったことを 告げた時 あなたは
「ほんとうか 嬉しい 俺はこれから 真面目になって 働くからな」
そう答えてくれた
肩を並べて 桜並木の下を 帰ったあの日 私の 一番 幸福だった日
あ な た に I
出来ないからって いじけていてはダメ
私だって九十六年間 出来なかった事は 山ほどある
父母への孝行 子供の教育 数々の習いごと
でも 努力はしたのよ 精いっぱい ねぇ それが 大事じゃないかしら
さあ 立ちあがって 何かつかむのよ 悔いを 残さないために
以上 詩集「くじけないで」 柴田トヨ より引用
99歳の方が綴られた詩だからこそ、さりげない言葉の連なりの中にもとても心打つものを感じます。最近参加したコミュニケーションの研修会でも講師の方が「動作や言葉として表現して伝え、伝わったものしか評価されません。以心伝心とは言いますが、黙っていては伝わりません。」とおっしゃられていたことを思いだします。言葉にして、文章にして、お互いに伝えあう努力をしたいなーと思います。
もう一つ、最近新聞で目にした心打つ文章をご紹介します。日本一短い手紙コンクールで最優秀賞を受賞された三重県の住職 富川法道さんが亡くなった父にむけての手紙です。
「坊主失格ですね。父を送る時、泣けて泣けて お経間違えて ごめんなさ い。」
この短い文章の中に、これ以上説明がなくてもその情景や富川さんの気持ちがとても伝わってきますよね。この日本一短い手紙を読んだ時、目頭がジーンと熱くなってしまう自分がそこにいました。気持ちを伝えることの大切さを改めて感じることができたように思います。
私の好きなドリカムの歌にでてくる「ちゃんとあなたに、伝わってるかな?」
この歌詞も心に響く素敵なフレーズと思いませんか! 皆さんも"ちゃんと、伝えてますか?"
平成23年2月 院長 大竹直樹