院長の部屋 50号 生かされる
晩秋、黄色や赤色に染まった木々の葉が一枚一枚、風に吹かれて舞い落ちるのを見ながら、今この文章を書いています。私はこの時期がとても好きです。夏の疲れも癒えて、美味しいものを美味しく食べることのできる季節、そしてこの時期は私にとって積極的に人と会って語らう季節、着る楽しみを感じることのできる季節・・・年末の慌しくなる前のこの時期を自分なりに楽しんでいます。
ここ数年、11月には私が医師になった時からの兄貴分である先輩を囲んで1泊しての恒例の飲み会の月であり、今年も美味しい海の幸を肴に楽しく催されましたし、着る楽しみは46歳にもなって年甲斐もなくいまだに高校生の頃に読んでいた雑誌メンズクラブにでてるアイビーリーガーやブリティッシュトラッド系のファッションが好きで、この秋も早々にカーディガン、ベスト、マフラーを買って一人で楽しんでいます。家族から、その服はパパには似合わないと、いつものように言われながらも・・・。
さて今年の話題のひとつ、NHKの大河ドラマ龍馬伝。歴史上の人物としての龍馬の生き様もカッコいいけれど、扮する福山雅治がまたカッコよかったなー。龍馬のような人と知り合いになっていたら人生変わるかもと思ってしまいます。そしてその龍馬の享年が33歳。現在の私よりも13年も早く亡くなっています。今と昔では平均寿命が違うので、と言ってしまえばそれまでだけれど、それでも33歳までにあれだけのことをやってのけたのだからスゴイと思います。
有名人・偉人で早死した人を少し紹介すると、尾崎豊26歳、項羽30歳、シューベルト31歳、坂本龍馬33歳、イエス・キリスト34歳、モーツァルト35歳、宮沢賢治37歳、ショパン39歳、フランシスコ・ザビエル46歳、JFケネディ46歳。
有名人・偉人の多くは20~40歳で才能を開花し仕事を成し遂げているようです。そして龍馬が33歳で暗殺されていなかったら、その後の日本はどうなっていたのかなーとも想像してしまいます。そして思うことは、こうして今、龍馬よりも長生きできていることは、自分の力で生きているというより、周囲の力で生かされているからなんだということです。
生まれながらの病気や、自分ではどうすることもできない後天的な病気、様々な感染症(アフリカではこれまでに2000万人の人命がエイズで失われています)、不慮の事故などにたまたま自分が巡り合わずに済んできたおかげで、今こうして「生かされている」と思うのです。自分の身代わりになっていただいた方々がどこかにいるからこそ、生かされているのだと思うのです。そしてこの「おかげさま」の気持ちが、40歳過ぎた頃から私の中に少しずつ芽生えてきました。日々、辛いことや苦しいことなど様々ありながらも、なんとか「おかげさま」で「生かされている」。天から「生かされている」ことに感謝して自分の命そして人生を大切にしてゆきたいと思います。
話かわって11月中旬に豊川市薬剤師会の依頼で1時間余りの講演をさせていただきました。6月に病院薬剤師会東三河支部から依頼をうけ豊橋で講演した内容の再依頼でした。患者さんとの日常診療ありのままを、開業医の視点からお話することしかできない私ですが、開業して10年目を迎えた今、毎年巡り巡る皮膚科医としての1年を「開業皮膚科医の四季 薬剤師の皆様に伝えたい私のコツ」と題して講演しました。
会場には満席になるほど薬剤師さんにお集まりいただき、熱心に私の話をお聴きいただいて本当に恐縮してしまいました。患者さんとの最前線で働く開業医の姿ありのままを伝える機会をいただき、私にとっても有意義な時間となりました。やはり、私は周囲の方々に「生かされている」と実感する一コマでもありました。
そして今、改めて私を囲むすべての皆さんに感謝!!
平成22年11月25日 院長