院長の部屋
COLUMN

院長の部屋 27号 三つの講演

めっきり秋も深まり山々の木々も次第に色づいてまいりました。柿や栗など秋の味覚にも季節を感じ、またひんやりした秋風や真っ赤に輝く秋の夕日に、うつりゆく日本の四季をしみじみと感じます。皆様はこの秋いかがお過ごしでしょうか。

さて先日、東京有明で開催されたアロマセラピー学会総会に参加してきました。国際シンポジウム、特別講演、教育講演、市民講座など様々な企画が準備されていましたが、私が楽しみにしていたのはその道を究めた3人の講演でした。一人目は北海道富良野にある花農場「ファーム富田」会長の富田忠雄さん、二人目は世界最優秀ソムリ エコンクール優勝者の田崎真也さん、そして三人目は哲学者でありカトリック司祭の上智大学名誉教授アルフォンス・デーケンさん、以上の3人はそれぞれの分野の第一人者で、とても心に残る講演でした。

「ラベンダーと共に生きて」という演題で講演された富田忠雄さんは富良野の農家で生まれ56年前からラベンダーを栽培し、富良野をラベンダーで有名にされ、かつて観光客が一人もこなかった富良野に今や年間115万人もの人々が富良野に寄ってゆくと いう、「日本におけるラベンダーの父」とでもいえる方です。しかし、その道のりはとても厳しいものだったようです。貿易の自由化や合成香料の進歩で富良野からラベ ンダー畑が無くなる寸前までいったこともあるそうで、ラベンダーを守り続けたその苦労とラベンダーにかける情熱に心打たれました。富田さんが最後に言われた言葉、 「形のみえないもの」「言葉を発しないもの」を見よう、聞こうとする心が大切だと いうメッセージを我々に残されました。ラベンダー栽培から富田さんが学び得た答えなのかもしれません。

田崎真也さんは今やテレビでもおなじみになった、ソムリエ世界大会優勝者です。
「香りとワインと食」という講演をされました。ソムリエは右脳が重要かと思いきや、香りを分析するために左脳が働いて、香りを理論的に言語に換えて単語として残し、過去のワインの記憶を呼び起こすのだそうです。例えば「羊の汗のような」とか 「猫のおしっこのような」などという表現も使うそうで、自然界のあらゆる匂いを嗅いでボキャブラリーを増やすことが大切とのこと。最近、賞味期限表示が社会問題に なっていますが、自分の嗅覚と味覚を磨いて、表示だけで判断するのはいかがなものかという提言もされていました。田崎さんも期限切れのヨーグルトを常々平気で食べているとのことでした。同じものを共に食べて家族と楽しい時間を過ごすこと、食に 関して共感できる時間をもつことの大切さを訴えられていました。

上智大学名誉教授アルフォンス・デーケンさんは「死生学」の第一人者で今回は「終末医療におけるスピリチュアルケア」という演題でご講演されました。「死への準備教育」の意義について、死を迎えようとしている方に対するのぞましい態度などについてお話されました。医療者であっても自己の限界を認める謙虚な態度、そして治療を目指してなにか「する」手段はなくなっても最後まで患者のそばにいる「いる」こと大切さ、そして終末期を迎える方々にとっての音楽療法やアロマセラピーの効用などデーケン先生のこころ温まる人柄からか、お話に吸い込まれるかのごとく時が過ぎてゆきました。「笑顔は無言のコミュニケーションとなり、ユーモアは末期患者の心のいやしにも良き効果を与える」とユーモアの大切さを教えていただきました。

その道を極めた3人のすばらしい講演を聴いて、心の栄養を得て帰ってきました。

平成20年11月15日

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