院長の部屋　26号　ある作詞家の遺言

肌寒くなってきました。夏の疲れもそろそろとれて、心も体も充実した秋をお迎えでしょうか？食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋、あなたはこの秋、何に 打ち込んでいますか？

先日「大人のための世界の名著　必読書50」（木原武一著）という本を読んでいて愕然としました。中身のある本当の「大人」になるために読むべき50冊の本が紹介されているのですが、恥ずかしいことに、この50冊を私はほとんど読んできませんでした。

あれこれ本は読んでいても、とっつきにくいということもあったのでしょうが、世界の名著というものに接する機会を避けてきたようにも思います。

私にとってのこの秋は「読書の秋」を目標に、やや難解そうではありますが、「世界の名著　必読書50」の中から少しずつ読破しようと考えています。

さて昨年逝かれた作詞家阿久悠さんが「暮らしの手帖」に寄稿した「日本人らしいひと」をテーマにした詩9篇を中心に出版された「 凛とした　女の子に　おなりなさ い 」という詩集を読みました。

その9篇すべてがそれぞれ心にしみわたる詩でしたが、この詩集の題名になっている 「 凛とした　女の子に　おなりなさい 」は、やはり代表作といってよいでしょ う。今回はこの詩を皆さんのお届けします。

「 凛とした　女の子に　おなりなさい 」

女の子だからといって　　　ヨワヨワしていたり　　メソメソしていたり

何かというと他人を頼りにして　　愛しいと思われてみたり

そんな子である必要はないのですよ

助けてやりたいとか　　庇ってやりたいとか　　守ってやりたいとか

男にとってはいい気分だろうけど　　そんなもの　　美徳でも　　魅力でもありゃし ない

いいかい　　女の子だって　　強くってもいいんだよ

粗雑であったり　乱暴であったり

不行儀が平気は困るけど　　　ちょっとした挨拶の誠意と　　心地よい微笑の会釈と

問われた時にハイと答える　　意志さえ感じさせれば　　強くっていい

男は自分が弱い者だから　　　すがりつく子を抱きしめるが

そんなのは三日だけの愛しさ

あとは　　　只の重荷になる　　　傷つけないようにハッキリと言い

侮辱を感じさせない態度をしたら　　あとは　自由に生きなさい　　強く生きなさい

自由で強くてやさしい子を　　凛としていると言います

凛とした女の子になりなさい

凛とした・・・　　　　　　　近頃いないのです

 

阿久悠　「凛とした　女の子に　おなりなさい」　暮らしの手帖社　より 抜粋

 

「自由で強くてやさしい子を　　凛としていると言います」、このフレーズが私の心に響いてきます。

平成20年10月3日　院長