院長の部屋
COLUMN

院長の部屋 110号 オレ流「風に立つライオン」

とーんと昔の話。私はケニア・ナイロビに降り立った。1993年9月、医師になって4年目のちょっと遅い夏休み。いろいろ考えるところがあり、自分を見つめ直す時間を作るために。

なぜケニアなのか。1987年にリリースされた、さだまさしの曲「風に立つライオン」に自分の姿が重なっていたのだと思う。人は考え事をする時、自宅にこもって考えるより、雑踏のカフェで見知らぬ人を眺めながら、あるいは旅先で風や水や波や光を五感でじながら、またあるいは見知らぬ土地の大自然の中で、何かを感じて迷っていたことに対して決断できたりすることがあるのではないか。私にとってのケニアは迷いを決断に向ける旅であった。

私を含めて5人の小グループツアー。東京から参加の40代のご夫婦、アラサー女子二人組、そして私(当時28歳)の5人に現地ガイドと運転手がつき、アンボセリ国立公園、マサイマラ国立保護区、ナクル湖国立公園を巡る旅。キリンの親子、木の枝で昼寝をするヒョウ、捕らえたシマウマを食べるライオン、ナクル湖の無数のフラミンゴ、移動中の象の群れ、獲物を物色するチーター・・・かつてテレビ番組の中で観たサバンナで様々な営みをする野生動物の姿が目の前にあった。

ほとんどは自動車に乗ってのサファリであったが、一度だけ熱気球に乗って、空からのサファリを体験した。熱気球に乗るは初めてであったので、それだけでも私にとっては忘れ得ぬ経験となったのだが、空から地上に目をやるとあちらこちらに様々な野生動物を見つけることができた。先輩や同僚が今この瞬間にも日本の病院で患者さんと向き合っていることを想うと、地球上にこんな光景が繰り広げられていることに不思議さを感じた。

熱気球が地上に着陸すると、そこでは先回りしてサバンナのど真ん中にテーブルとイスが準備され、朝食の準備が進められていた。朝日を浴び大自然のオープンエアーの中、シャンパンで乾杯、そしてブレックファースト。私の人生の中でもベスト10に入る至福のひとときとなった。

その後もサファリは続いたが、残念ながらこの旅の中で「風に立つライオン」に出会うことはなかった。しかし大自然の中で自分を見つめ直す十分な時間を持つことができ、「迷っている時は前に進む、チャレンジしなかった事に対して後悔をしたくない」という想いを胸に帰国した。

旅から帰り3か月後、私は所属していた母校の医局を退局し、九州にあるK大学の医局へ移った。知り合いのいない見知らぬ土地へ、かつての上司TK先生ただ一人を頼りに。

そして後日、「風に立つライオン」のモデルとなった柴田紘一郎先生と、K大学の我が師匠TK先生とは、お二人が医学生時代、同じ大学で近い関係にあったことを知り、何かの強い縁を感じることになる。ケニアの大自然の中で決断した想いと行動が、その後の私にとってかけがえのない経験につながったのである。

最後に「風に立つライオン」から心に残っているフレーズを紹介する。

「やはり僕たちの国は残念だけれど、何か大切な処で道を間違えたようですね・・・・診療所に集まる人々は病気だけれど少なくとも心は僕より健康なのですよ・・・・空を切り裂いて落下する滝のように僕はよどみない生命を生きたいキリマンジャロの白い雪それを支える紺碧の空僕は風に向かって立つライオンでありたい」さだまさし「風に立つライオン」より抜粋

ケニアへの旅、オレ流「風に立つライオン」を見つける旅であった。

令和2年1月27日 院長

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