院長の部屋
COLUMN

院長の部屋 105号 海外巡回診療 Vol.3 中近東編

時は遡ること25年前、前号でご紹介したインドネシアへの海外巡回診療に参加した翌年、再び海外巡回診療団の一員として中近東へ派遣される機会を得ました。今回のチーム構成は産婦人科女医のD先生を団長、内科のE先生そして私の3人で構成する鹿児島大学医学部派遣チームです。バーレーン、カタール、オマーン、クエート、サウジアラビアの5か国を巡る健康相談と診療の旅です。今回は中近東巡回診療の思い出を振り返りたいと思います。

巡回した中近東5か国の在住邦人は、主に商社・証券・銀行関係のホワイトカラーの30代から50代の現役世代とその家族でした。インドネシア在住邦人の多くが第一次産業関連の単身赴任壮年男性であったのと対照的でした。巡回5か国はともに類似した乾燥気候と風土だったので、皮膚科診療の観点からはいずれの国も乾燥に関係する相談が多く見られました。砂漠地帯なのでもともと乾燥しているのですが、エアコンを頻用するために室内は常時乾燥環境となっています。そのような理由で内科のE先生も乾燥による呼吸器系の相談を多く受けていたようです。また中近東に来てから頭部の脱毛が目立つようになったと訴える方(特に中年女性)が少なからず受診されました。欧米から輸入されたシャンプーによるものか、塩分濃度の高い水道水によるものか、乾燥によるものか、ストレスによるものか、様々な原因が予想されましたが、多くの原因が重なって脱毛が進んだものと思います。

診療以外で巡回5か国において印象深かったこと・・・。

バーレーンでは、日本人学校の校長先生が鹿児島県から派遣されており、同郷からやって来た我々に大いなる親しみを持って歓待していただきました。また、バーレーンではAmerican mission hospitalを見学し、中近東における医療事情の一端に触れる機会を得ましたが、日本国内の基幹病院と遜色ない立派な病院でした。アラビアの国々ではイスラム教によりアルコールを禁ずる戒律の中で生活をしていますが、バーレーンはお酒については比較的規制が緩やかで、ホテル内であればアルコールの提供が許可されていました。それ故に週末になるとサウジアラビアのお金持ちがお酒を飲むためにバーレーンのホテルへやってくるそうで、その現場を我々は垣間見ることになりました。

オマーンは首都マスカットを訪問しました。マスカットはとても綺麗な都市で、まさにアラビアンナイトを彷彿させる街でした。宿泊はオマーン国の迎賓館としても使われるアル・ブスタンホテルというアラビアの宮殿を思わせるとても素敵なホテルで、公務で来ていることを忘れてしまうくらいうっとりする時間を過ごしました。

カタールは首都ドーハを訪問しました。サッカーワールドカップ予選「ドーハの悲劇」で日本人に知られる都市です。街には多くの高級ドイツ車が走り、石油や天然ガスなどの資源に恵まれた裕福なお国柄が伝わってきました。清掃、工事、メイドなどの下働きの多くはフィリピンやインドなどからの外国人が担っているとのことで、当時のカタールの社会構造は現在そして近未来の我が国を見るかのようでした。

サウジアラビアは首都のリヤドを訪問しました。サウジアラビアは中近東の大国で、日本大使館も今回訪問した国の中では一番大きく立派なものでした。当時の在サウジアラビア日本大使はロシア通で外務省の中でも大物大使と言われ、とても風格と品格のある大使でした。大使館の広い立派なホールでの昼食会に招かれ、大使から外交のお話をお聴きするひとときを過ごしました。大使夫妻とのお食事は極度に緊張し、何を聞いて何を食べたのか忘れてしまうほど、あっという間に時が流れました。またリヤド滞在中に熊本大学出身の中村医務官のご自宅へ招待していただき、奥様の手料理によるおもてなしを受け、サウジアラビアにいることをすっかり忘れそうな心温まる時間を過ごすことができました。

最終訪問国はクエートでした。湾岸戦争の爪痕残る場所や爆撃された客船が保存されていました。クエートでは高橋医務官に我々の入国から出国まで実に細やかにお世話していただきました。高橋医務官からは中近東における医務官の任務につき多くの話を聞く機会を得ました。「紛争が生じた際、邦人が安全に国外へ脱出するため準備」など、日本にいては感じることのできない緊迫感を持って過ごされていることをひしひしと感じました。そして巡回診療の最後にはペルシャ絨毯のお店に連れていっていただき、少々張り込んで本場のペルシャ絨毯を持ち帰り、中近東巡回診療の思い出の品として大切にしています。

中近東5か国に駐在する邦人の方々のための健康相談を目的とする巡回の旅でした。サウジアラビアなど観光ビザが発給されない国もあり、貴重な経験となりました。今でもテレビ等で中近東情勢を見るたびに、当地で自分が肌で感じた空気感や匂い、脳裏に焼き付いているあの日あの時のワンショットを思い出します。

令和元年6月4日 院長

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