院長の部屋
COLUMN

院長の部屋 104号 海外巡回診療 Vol.2 インドネシア編

ジャカルタ発の飛行機は予定よりかなり遅れてカリマンタン島(ボルネオ島)のバンジャルマシンに着き、その足でバンジャルマシン日本人会の方々による歓迎会に招待されました。そして翌日から巡回診療が始まりました。この後も計7カ所で巡回診療をして周ったのですが、診療用の専用会場が無いために、総領事館、日本人学校、日系企業社屋などで診療が行われました。

バンジャルマシンでは日系企業の社屋を借りて診療しました。在住邦人は水産業、林業などの第一次産業従事者が多く、殆どは30~70歳の単身赴任の男性です。その為、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の相談が多く、内科のC先生一人が忙しく診療することになりました。皮膚科医の私は受診に訪れる方々へ、皮膚病の治療法、予防法、生活指導、疾患について懇切丁寧に説明し、異国の地で活躍する邦人の方々に少しでもお役に立ちたいという気持ちで診療してきてました。

バンジャルマシンでの診療を終えるとその後はジャワ島のスラバヤに移動しました。スラバヤは人口約300万人のインドネシア第2の都市で日本総領事館があります。家族で在住する方々も多く、また日本人学校があるためにスラバヤでは日本人同士の交流が多いようでした。ここでの診療は日本人学校で行われ、子供達も受診に訪れたので団長の小児科医B先生の活躍が光ります。スラバヤでは、総領事公邸で日本人会の方々が大勢集まり、我々の訪問を歓迎するガーデンパーティーを催していただきました。世界各地に在住する邦人の方々は、このような機会を得て日本人ネットワークの中で情報交換をされているようでした。

その後スラバヤからほど近いスマランで巡回診療し、次いでニューギニア島西端・西パプア州のソロンに上陸しました。飛行場だけがある小さな島に到着すると、横波が来たらあっという間に転覆しそうな細長いエンジンボートに乗り換えて、物凄いスピードで対岸の船着き場を目指します。かなりドキドキする心臓に悪い乗船体験でした。ソロンは太平洋戦争の戦場となった地域で、多くの日本人英霊が眠っています。「こんなところに日本人が」そんな小さな町です。そして今回の巡回診療で最も厳しい生活環境下にある町でした。ソロンには50代から70代の10数名の日本人男性が在住していました。内科のC先生が辺境の地で活躍される皆さんの健康管理のため、生活習慣病の各種指導を丁寧にされていたことが思い出されます。

ここはニューギニア島・・・かつてバックパッカーとして辺境の地を巡っていた頃、少数民族の作った品々を収集してきたこともあり、私はひそかに民族装飾品の入手を期待していました。診療後の自由時間に土産を探しに街を散策し、そして私の目指すモノを見つけました。原住民が身に付けるコテカ(ペニスケース)です。天然物なので様々な形をしているコテカの中から自分にジャストフィットするものを探し当て、旅の思い出として土産に持ち帰りました。

ソロンを後にしてスラウェシ島のウジュン・パンダン(現在マカッサルと改名)、アンボン島(セラム諸島)のアンボンを巡回し、そして最終巡回都市、バリ島のデンパサールにたどり着きました。デンパサールは多くの日本人が観光で訪れるバリ島の拠点都市です。観光で訪れる日本人も多いのですが、邦人も多く在住していました。デンパサールでの診療は総領事館で行われました。デンパサールは医療事情も比較的良好であり、大きな問題も無く巡回診療は順調に無事終了しました。

巡回診療の中で、スマラン、アンボン、デンパサールの3都市で病院見学の機会を得ました。3つの病院はどれも各都市のサイズに見合った整然とした施設で、看護師のテキパキと働く姿が印象的でした。アンボンとデンパサールで訪問した病院には2人ずつの日本人看護師が技術指導のために派遣されていました。そこでは当地での活動状況や医療事情の説明を受けましたが、彼女らが日本で学んだ医療をインドネシアの島々の医療従事者に伝える尊い任務を果たしていることに、同じ日本人として誇らしく思ったものです。

鹿児島から医者三人でインドネシアの島々を巡回する珍道中でした。そしてあれから20数年の時が流れましたが、巡回した都市の医療事情は現在どうなっているのでしょうか。巡回した都市では今も次世代にバトンタッチして邦人の方々が活躍しているのでしょうか。折に触れ、遠く離れたインドネシアの島々のことを懐かしく想い出します。

平成31年5月7日 院長

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