アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は「増悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患で、患者さんの多くはご家族か自分自身が気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患を持ち、IgE抗体を産生し易い体質をもつ」と定義されています。別の皮膚病のこともありますから、まずはその皮膚病がアトピー性皮膚炎なのかどうか、皮膚科専門医の診察を受けて下さい。
海岸通り皮ふ科では生まれてまもなくから続くアトピー性皮膚炎のお子さん、他院でアトピー性皮膚炎と診断され長期にわたる治療がご不安になり転院されていらっしゃる方、大人になってからアトピー性皮膚炎になってご来院される方などが、様々な思いを抱いて当院をご受診されます。ここでは当院におけるアトピー性皮膚炎の治療方針について説明します。
塗り薬治療(外用療法)
第一に日本皮膚科学会が推奨しているステロイドホルモン外用剤と保湿剤を組み合わせて使う外用方法を標準治療としています。長きにわたりアトピー性皮膚炎に患っている患者さんには、赤みや痒みが軽快しても治療を中断すると発疹が再発し易いので、症状が無くなった後も再発しないようにステロイド軟膏を週に1、2回は塗り続けるプロアクティブ療法という塗り方をご指導しています。
また長期にわたってステロイド軟膏を使うことに抵抗感のある方で、どうしてもステロイド軟膏を使いたくない方には、海岸通り皮ふ科ではステロイド軟膏を使わない方法にも取り組んでいます。その場合はステロイド軟膏以外の外用薬と、後で説明する漢方薬療法や光線療法の併用、そして食事、衣類、睡眠、シャンプー・石鹸等についての細かな指導に対応していただきます。
飲み薬治療(内服療法)
アトピー性皮膚炎に対する内服療法では、痒みを抑えることで発疹を悪化させる掻破(ひっかくこと)を少なくする目的で抗アレルギー剤(痒み止め)用います。多くの場合、塗り薬治療に追加して1~2種類の抗アレルギー剤を処方します。
また、当院では赤み、痒み、ほてりなどの皮膚の症状を和らげるための漢方治療、また後で説明する体質改善のための漢方治療も積極的に行っています。
光線治療
塗り薬や飲み薬の治療で十分な効果が見られない患者さんや、ステロイド軟膏をあまり使いたくないという希望のある患者さんに対して、ナローバンドUVBまたはエキシマライトという光線を当てて、痒みや赤みを抑える治療を併用しています。この治療方法を取り入れている皮膚科医院は少数で、当地方において当院は皮膚病光線治療についてリーダー的な役割を果たしています。
漢方治療(体質改善治療)
海岸通り皮ふ科では漢方薬を用いた治療を積極的に取り入れています。漢方治療には短期間で赤み、痒み、ほてりなどの皮膚症状を和らげる治療(標治)と、長期にわたって体質改善を進めて根本から治す治療(本治)の二種類があります。当院では標治のみの場合、標治と本治を組み合わせる場合の二つの方法を患者さんの希望に応じて行っています。当院で扱う漢方薬は主にエキス剤という粉薬で、数種類のみカプセル剤があります。生薬をお湯で煎じて飲む、煎じ薬は用いていません。
体質改善治療(本治)とは乳幼児さんの場合は胃腸虚弱や喘息のあるお子さん、中耳炎や扁桃炎を繰り返す体質や疳の虫(神経質でイライラ、ゴソゴソ落ち着きがない)のお子さんに対して様々な漢方薬を内服していただきます。まずは最低1年くらい内服を続けていただいています。
大人のアトピー性皮膚炎患者さんには便秘・胃腸障害、疲労・睡眠不足・ストレス・自律神経バランス、ホルモンバランス、低血圧、冷え性・のぼせ、持病など患者さんごとの問題点を見つけて対応してゆきます。大人は子供より体質改善が難しいため、かなり長期にわたる漢方治療が必要となります。
生活指導
体質改善治療(本治)を行う場合は、漢方薬を飲むだけでは良くなりません。食生活改善、ストレス軽減、良質な睡眠と休養、衣類、シャンプー・石鹸・ボディーソープなどの使い過ぎについての知識啓蒙など多くの事柄について改善努力をしていただきます。詳しくは当院受診の際に体質改善希望の旨をおっしゃって下さい。